本の紹介 朝岡勝著「あの日以後を生きる」

著者である朝岡勝牧師は、昨年わたしたちの教会でゲストスピーカーとして奉仕をしてくださいました。日本同盟キリスト教団徳丸町教会の牧師でいらっしゃいます。

 

私は、自分を信仰告白へと導いてくださった恩師の一人として、個人的に尊敬を抱いている方です。

 

本書は、あの東日本大震災の後、被災地にある方々と様々なかたちで関わってこられた朝岡師の、回想録のかたちをとった信仰随想です。まさに「走りつつ、悩みつつ、祈りつつ」、様々な葛藤を抱えながら、「被災」の現実の中での自らの立ち位置を探って、今日まで(そしてこれからも)神と人に向き合ってこられた、著者のもがきが振り返られています。

 

とても印象的だったのは、自らの魂の奥にあった「怒り」に言及されるところです。

 

あの日以後、著者はまさに獅子奮迅の働きで、被災地との精力的な関わりを継続されるのですが、その原動力はなんなのだろうかと辿っていくときに、自らの内にある「怒り」に気づかれます。

 

それは「神への怒り」です。なぜこんな悲しみをもたらされるのか、という怒りです。

 

そして、さらにそれを辿っていく時に、若くしてお父様を失った際に覚えた「怒り」とそれは通じると気づかれます。

 

どうして、祈りは聞かれなかったのか。どうして、どうして!!

 

・・・しかし、それが「怒り」であったことに気づいた時に、魂は解き放たれ、「生ける神」を見上げることへと昇華されていく・・そんな、人知を超えた信仰の奥義が示されます。

 

それでも、神は生きておられる。どうして!!と怒りをぶつけることのできる方がいる。ならば、もう「なぜ」と問うのではなく、「いかに」して、被災された方々と共に生きていくか、そのことを考えようと、著者は言葉を続けられます。

 

あの日以後を、どのようにとらえていくべきか、そして、今日以後を、どのように生きていくべきか。たくさんの示唆を与えられる良書です。

 

非常に間接的にではありますが、一昨日もたれた一人の姉妹の葬儀説教においても、この本から大きな影響を与えていただいたことを、感謝します。